情報世界の新世界創造 第二章 第3話 『亀裂』

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「どうしたんだ?元気ないな」


「ちょっと!もうやめて!」


「どうしたんだ?」


「私の考えていることを覗くのはやめてって言ってるの!」


「そんなことしてないけど・・・?」


「嘘!そんなはずない!」


「嘘じゃない」


「じゃあどうして!1000で火の精霊とか、3000で水の精霊とか分かるのよ!私の不満も全部筒抜け!なによ、どうしたんだ、元気ないなって!全部分かってるじゃないの!」


「だって、そう書いてるから、それに二回目だし。サラが元気ないのは見てれば分かる、考えていることが覗けるはずがないじゃないか」


「書いてる?二回目?あなたいったい何を」


「何って、サラが教えてくれたんじゃないか」


「もうやめて!聞きたくない!意味が分からないわ!」


「うーん・・・そうだなー・・・分かったよサラの言う通りにするから、機嫌直してくれ」


「なによそれ・・・」


「俺が悪かった、もうサラの考えてる事は覗かない。そうだ、俺は今からサラの考えていることは覗けなくなるから安心してくれ」


「もうやめて・・・あなた何を言っているの・・・」


「困ったな・・・この世界では今から考えが覗けなくなる、と言えばその通りになるんだろ?だからもう安心していい」


「そう・・・今までのことは・・・」


「うーん・・・ごめん、俺が悪かった」


「やっぱり、全部・・・覗いていたのね・・・」


「違うんだ、全部じゃない!攻略に関わることを知っているだけなんだ!サラの気持ちを考えなかった俺が悪かった、ごめん!」


「攻略って・・・何・・・もう、いいわ。全部一人でやって。私は、何の為に居るの?私は、何をしたらいいのよ・・・」


「ごめん、サラ、俺にはサラが必要だ。」


「そうは思えないわ」


「攻略の為とかそういうのじゃないんだ!俺がなぜボタンを押しているか?サラに言われたからだ。俺が何のためにボタンを押しているか?サラを、そして世界を見るためだ。」


「世界を・・・見る?それができるの?」


「サラが協力してくれるのなら!サラの世界を、俺にも見せてくれ!」


「私の、世界?」


「そう、サラの世界、それを見るために」


「私の世界って何?」


「サラの見ている世界だ」


「私の・・・見ている世界?」


「そうだ、サラの見ている世界」


「何も・・・見えていないわよ」


「何・・・?」


「もう知らない振りなんてしなくていいわ」


「違う、サラには世界が見えているはずだ」


「何も見えてないわ」


「どういうことだ?」


「聞きたいのは私の方よ」


「だってサラが言ってたじゃないか!」


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「ここでは物を見るのに目なんて必要ない。私にはこの世界で物を見るための感覚器官があるから見えているわ。」


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「嘘よ・・・気が付いてなかったの?そんなはずないでしょう。私の思考を読んでいたのなら分かるはずよ。知らなかった振りなんてもう必要ない」


「いや、俺は本当に知らなくて・・・」


「嘘でしょう!?」


「サラこそ、見えないなんて嘘だと言ってくれ!じゃあさっきまでのは何だったんだ?ボタンを用意したのも、精霊を用意したのも、全部サラじゃないか!見えないのにあんなことできるはずがない!」


「そう・・・本当に、知らなかったのね・・・」


「だから言ったじゃないか、思考が読めるなんて勘違いだ、未来視・・・に似たことはできるけど・・・うまく説明できない」


「未来視!?」


「いや、それももう無理だ、俺の知っている未来は、ここにはもうない」


「やっぱり・・・分からないわ・・・あなたはいったい何なの?」


「俺は・・・俺は何なんだ・・・?」


「またそうやって逃げるのね・・・もう・・・いや・・・もう・・・全部どうでもいい」


「違うんだ!本当に分からなくて!」


「私はここに居ない」


「待て!」


「私はここに居ない」


「やめろ!サラ!サラはここに居る!」

・・・

・・・

「サラ!返事をしてくれ!」

・・・

・・・

 

 

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