情報世界の新世界創造 第一章 第7話 ミドル・エピソード・サラ 『減らない借金』

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「レイ、よく頑張ったわね、借金返済もいいけど、その1万石を使ってこれからもっと稼げるように、人を雇うのはどうかしら?」


「人を雇う?1万で足りるのか?そもそもどうやって?」


「私が連れてくるわ、どんな人が良いか、希望はある?」


「可愛い女の子」


「もう居るじゃないの」


・・・


・・・


「まさか自分のことを言ったのか?」


「レイが言ってくれたんじゃないの!」


「ああ、いや、あれは言ったんじゃなくてそう思っただけで」


「とにかく、女の子は却下!」


「えー、でもオッサンオバサンはいらないよ。それに男はだめだ。サラが襲われる危険がある」


「それじゃ誰も雇えないじゃないの」


「いいさ、まずは借金を返すよ」

(また、失敗した・・・人を作る・・・どうすれば?)


「待って!そうだわ、精霊よ!水の精霊を買いましょう」


「それならもっと早く言ってほしかったなー。3000石で買えるんだよね?」


「そうだけど、こんなに早く貯まってるなんて思わなかったから。そう!ちょうどいいわ、精霊のレベルアップもしましょう!」


「レベルアップ?」


「そうよ、精霊をレベルアップするとその効果が高まるの。火の精霊ならボタンを押したときに得られる魔晶石が+1から+2になるわ。費用は7000石なの!水の精霊を買うのと合わせてちょうど1万よ!それがいいわ」


「うーん・・・まあいいか。じゃあそうするよ」


「決まりね!じゃあ早速。はい、まず水の精霊をどうぞ」


「いつのまに!?」


「こんなこともあろうかと準備しておいたのよ」


「準備してたなら先に使わせてよ~」


「甘えないの!」


「はいはい」


「次に火の精霊のレベルアップをしてみて」


「おう!やりかたはなんとなくわかる気がする。できたぞ」


「やるわね」


「俺もこの世界にかなり適応したみたいだ」


「その調子よ」

(この分野に関しては、私のほうが教えてもらいたいくらいね)


ポチポチポチポチポチ・・・


「おお!すごい速さで魔晶石が増えていくぞ!」


「そうでしょう。この調子で100万石を目指しましょう」


「やるぞー!」


「頑張るのは良い事だけど、あまり無理はしないでね・・・」


「大丈夫だ!俺に任せろ」


「それが心配なのよ・・・」


「それにしても借金が減らないな」


「そう?たしかに金額は減ってないかもしれないけれど、レイがボタンを最短で押したときに得られる魔晶石の稼ぎは最初と比べて12倍にもなっているのよ。すぐに返せるわ」


「それもそうか」


「ところで、レイの稼ぎが12倍になったところで、また良い提案があるの」


「良い提案?」


「そう、良い提案。私は今までレイの稼ぎが少なかったから、1万石しか貸せなかったけれど、今のレイになら10万石ぐらいまでは貸してもいいわ」


「いらないよ、利子が増えるだけじゃないか。エレシーが買える100万石を貸してくれるならともかく、10万石あっても使い道がない」


(拒否・・・これは・・・良い傾向・・・かしら?)

「違うの、10万石の使い道はあるわ。精霊のレベルアップをしたり、高性能ボタンを買ったり、魔晶石鉱山を買ったり、人を雇ったり」


「そんなにいろいろできることがあったのか。」


「ええ、まだまだあるけれど、説明しきれないから必要な時に説明していくわね」


「まとめて言って貰いたいところだけど」


「私も説明する準備ができてないのよ」

(ずいぶんと簡単に言ってくれるわね・・・)


「それならしかたないな。未開放機能ってことか」


「少し違うんだけど、そう思ってくれて問題ないわ」

(また私は・・・ごまかしてしまった・・・私の方にも問題があるわ・・・)


「それじゃ、さっき言ったものだけでも説明してくれないかな」


「いいわ、まずは精霊のレベルアップからね」

火の精霊
レベル1 値段1000  効果+1
レベル2 値段7000  効果+2
レベル3 値段50000  効果+4
レベル4 値段200000 効果+8
レベル5 値段1000000 効果+20

水の精霊
レベル1 値段3000  効果5秒
レベル2 値段10000  効果4秒
レベル3 値段50000  効果3秒
レベル4 値段200000 効果2秒
レベル5 値段1000000 効果1秒

「高いなー。レベル5の100万なんてのはあればエレシーを買う俺には無縁だな。」


「ふふふ、本当にそうかしら?」


「どういう意味だ?」


「その時になれば分かるわよ。」


「値段のバランスちょっとおかしくないか?まずは火の精霊と水の精霊、最初だけ値段が違う」


「そうかしら?効果が違うからそんなものよ、だいたい、レイが頑張りすぎたせいでバランスを考える時間が無くなったんだからレイのせいよ」

(たしかに、少し変な値段設定だわ。全部一緒にしたほうがいいかしら?でも今更変えられないわ)


「俺のせい!?またサラの難しい話が始まった。意味が分からない」


「レイのせいなのよ」


「まあいいよ、そういうことにしておこう。他は?」


「次は高性能ボタンね。最初にレイに渡したボタンは無料なのだけど、ボタンにはいろいろ補助機能が付いたものがあるの」


「ふむふむ」


「効果の例としては、ボタンを押したときに得られる魔晶石が増えたり、一定時間ごとに自動で押される機能がついてたり。」


「ありきたりだな」


「悪い?レイが考えてもいいのよ」


「なんだそれ」


「便利機能よ、何か思いつかない?ボタンにつけて欲しい機能」


「1回押したら100万石貰えるようにしてくれ」


「できるわけないでしょう!」

(自分の意見を言うのはいいけど、もうちょっとまともな答えを返せないのかしら)


「だろうな」


「レイに聞いた私がバカだったわ。とりあえずボタンの機能はこれだけにしておきましょう。」


「で、お値段は?」


「1回1万石のガチャと、1回300円のガチャがあるの。300円のガチャのほうが高性能なものが当たりやすいわよ。それから、ボタンは1つしか持てないから気を付けてね。引いた後で選べるけど、替えるなら今あるボタンは無くなるの」


「ちょっと待て、いろいろおかしいぞ。1円=1石じゃなかったのか?」


「インフレしてるのよ」


「インフレ早すぎだろ!」


「そんなものなのよ。円と石の交換なんてできないのだから、心配する必要はないわ」


「まあいい、でも俺ガチャって嫌いなんだよなー。と言っても初期装備のまま一生を終えるのも嫌だし、とりあえず300円のガチャを1回だけ引こう」


「レイは300円も持っていないわよ」

(ガチャは嫌いなの・・・それは意外ね)


「そうだった。でも前に魔晶石の巻物で500円払ったのはなんだったんだ?」


「あれはレイが払ったものじゃないわ。私も誰が払っているのか知らないの。今回も払ってくれるかどうかは分からないわよ」


「とりあえず試してみてくれよ」


・・・


「ダメだったみたいね。300円のガチャは諦めなさい。」

(反応がないわ・・・これでもだめみたいね・・・)


「そうか・・・仕方ないな、1回1万石のガチャ・・・の前に他のも教えてくれ。鉱山、だったか?」


「魔晶石鉱山ね。魔晶石鉱山では魔晶石が取れるの。人を雇って自動で取れるようにするのが一般的な使い方よ」


「ふむふむ」


「魔晶石鉱山は10万石で買えるわ。土地を買ったときと同じ要領よ。」


「高いな、今はやめておこう」


「でも今説明して貰ったのを借金して買っても、利子のほうが高そうだな」


「そうね・・・いいわ。レイなら返してくれるもの。利子は1時間0.2%に下げましょう」


「良いのか!?それなら利益が出そうだ」


「それじゃ、何に使うの?」


「火の精霊をレベル3にして、水の精霊をレベル2にして、ボタンガチャを1回だな。合計7万石か」


「本当に良いの?」


「何がだ?サラこそ本当に良いのか?俺に7万石も貸して。既に借りたのと合わせて8万石もの大金だぞ?」


「私は良いのよ。それよりも、ちょっと高めに設定したつもりだったのにレイが躊躇なく買うものだからびっくりして」


「高いか?100万貯めるまでに何回ボタンを押さないといけないか考えたらこのぐらいの初期投資はしておいた方が良いはずだ。それに躊躇はしたぞ、サラが金利値下げしてくれたんじゃないか。」


「そう・・・ね」


「大丈夫だサラ、俺は必ず100万貯めてサラの姿を見るんだ」


「世界を・・・の間違いでしょう」


「間違ってないよ、確かに世界は見たい。でも、それ以上にサラを見てみたいと思ってる」


「嬉しい・・・けど少し恥ずかしいわ、私なんて」


「サラは自分の容姿に自信がないのか?」


「自分の容姿に自信・・・分からないわ。自分の姿なんて分からないもの。でもレイの言葉で、少し自信が出たかもしれないわね。」


「どういうことだ?」


「レイにとって私がどう見えるか分からない。ということよ」


「またサラの難しい話が始まった・・・サラは可愛い女の子だ。心配いらない」


「ありがとう・・・レイ」


「じゃあ早速、始めるぞ」


「始めるって何を?」


「もちろん精霊のレベルアップと新ボタンの購入を、だ」


「もう、雰囲気ぶち壊しじゃないの!」


「違うんだ、さっきも言った通り、サラの姿を早く見るために早く100万石貯めたいんだ」


「ふ、ふーん。そうなんだ。まあいいわ、はい、7万石どうぞ」

 

 

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