情報世界の新世界創造 第一章 第5話 『サラの難しい話』
ポチポチポチポチポチ・・・
ポチポチポチポチポチ・・・
(とにかく100万貯めれば、世界が見えるんだ)
(そうなれば俺にもサラの難しい話が理解できるかもしれない)
ポチポチポチポチポチ・・・
ポチポチポチポチポチ・・・
ポチポチポチポチポチ・・・
ポチポチポチポチポチ・・・
「ちょっと!なにやってるの!」
「え?俺はサラに言われた通りボタンを押してただけで」
ポチポチポチポチポチ・・・
「今何時だと思ってるの!朝から夜までずっとボタンを押して!頑張りすぎよ!休憩しなさい!」
「そうか?俺はまだやれるぞ」
ポチポチポチポチポチ・・・
「あなたはそれでいいの?ただボタンを押しているだけで!あなたは
「ああ、俺は世界が見たい!そのためならこのくらい」
ポチポチポチポチポチ・・・
「もう・・・いいのよ・・・」
「え?」
ポチポチポチポチポチ・・・
「見てられないの」
「どうしたんだ?」
ポチポチポチポチポチ・・・
「世界が見たい、それだけならそこまで頑張らなくていいのよ!そんなこと頑張っても本当は意味なんてない。」
「でもサラも頑張ってボタンを押してって・・・」
ポチポチポチポチポチ・・・
「違うの!そうじゃないの!」
「俺には、サラの話は難しくて分からないよ」
ポチポチポチポチポチ・・・
「ごめんなさい、私がもっとうまく伝えられたらいいのだけど。私のせいなの、私が・・・そうだわ、私と話している間だけでも、ボタンを押すのはやめてくれないかしら?最低限のマナーだと思うのだけど」
「あ、ああそうだな。悪かった」
「いいえ、私が悪いの。私はまた・・・ごめんなさい。」
「どうしたんだ?」
「私は・・・そうよ、私はあなたともっと話していたいの!」
「どうしたんだ急に可愛くなって」
「ち、違うの!勘違いしないで!」
「何が違うんだー?」
「もういいから、今のはナシ!忘れて!」
「えー、忘れるなんてもったいない」
「話を変えるわよ!」
「はいはい、それで話したいことって何かな?」
「あなた、まだ自分の名前は思い出せないの?」
「そうだな、全く分からない」
「もう、不便だから今考えなさい!」
「そんなこと急に言われてもなー」
「いいから考えて!私は3秒で自分の名前をつけたのよ」
「かなり気になることをさらっと言ったが、まあいいか、それはすごいな。そうだ!じゃあサラが俺の名前つけてくれよ」
「そ、そんな重大なこと私に任せていいの!?」
「俺、サラと話してる時が一番楽しいんだ。サラになら、安心して任せられる」
そうだ、俺はサラと話すために生きているんだ。
「ちょちょちょっと待ちなさい!それ恥ずかしいから禁止!また内心が漏れてるから!2重に漏れてるから!」
「いいんだよ、サラなら」
「違うの、私以外にも見えちゃうから!恥ずかしいからやめて!」
「え!?サラ以外にだれが居るんだ?」
「知らないわよ!そこまでまだ考えてないもの」
「またサラの難しい話が始まった」
「はあ、そうね。とにかく、会話はそこにいる人にだけ聞こえるの。聞き耳をたてている輩でもいない限りね。そしてここはあなたの土地だからその心配もいらない。そういう設定だから覚えておいて」
「分かったよ・・・」
「ちなみに、特定の人だけに伝えたいことを小声で話すこともできるわよ」
「どうやって?」
「そうしたいと思うだけでいいの、2人じゃ試せないわ」
「そうか、またの機会にだな。それで、名前をどうしようか」
「いいわ、考えてあげる。1日待って」
「3秒でできるんじゃないのか?」
「それは自分の名前だもの。あなたの名前を考えるのなら、もっと慎重にしないと」
「そんなものか」
「そんなものよ」