情報世界の新世界創造 第一章 第10話 『世界の真実』

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「レイ!起きて!ねえ!レイ!起きてよ!」


「起きなさい!」


「今起きないともう話してあげない!」


・・・


・・・


「レイ」


「レイ!起きて!お願い!私が悪かった、もう、あんな風に冷たくしないから!ごめんなさい、ごめんなさい・・・」


「どうしたんだ?サラ」


「え?ああ・・・レイ!?良かった。目を覚ましてくれた!」


「何があったんだ?」


「何があったじゃないわよ、10日も眠り続けて!もう会えないかと思った!」


「10日!?」


「そうよ!レイは10日も眠り続けて!何があったの!?」


「俺にも分からないよ・・・そんなに寝てるつもりは無かったんだ。でも・・・これはどうにかしないと・・・」


「もう・・・すごく心配したんだから」


「ごめん」


「本当に、もう会えないかと思った」


「ごめん」


「レイ・・・ずっと一緒に居て。もう、寝ないで」


「それはちょっと大げさだな・・・」


「私が・・・」


「なんだ?」


「私が冷たくしたから?」


「違うんだ、本当に俺にも原因が分からなくて」


「いいの、ごめんなさい。もうあんな風に冷たくしないから。もう、私を一人にしないで・・・」


「いや、いいんだ。サラはサラのままで。サラを一人になんてさせない」


「本当に?」


「ああ、本当だ、必ず原因を突き止めよう」


「原因、そうね・・・私にもできることがあるかしら?」


「そうだなー・・・。お?100万石貯まってるぞ!」


「そうね、10日も寝てたんだもの」


「エレシーを買おう!」


「それは・・・」


「どうしたんだ?世界が見えれば俺が長く眠っていた理由も分かるかもしれない」


「そうよね・・・でも・・・」


「なんだ?危険な事でもあるのか?」


「そうじゃないの、そうじゃないけど。いいわ、レイ、エレシーを買ってみて。でもその前に」


「どうしたんだ?」


「まずはここに入って」


「入るって言われても、俺身体の感覚もなんだけど、どこに入ればいいのやら」


「いいの、私がやるから。いきなり大量の視覚情報が流れ込むと危険だから、一旦暗い場所に居て、徐々に慣れさせるの。それから、私もエレシーを買うから。」


「なるほどな、え?でもサラにエレシーは必要ないんじゃなかったのか?」


「レイと同じ世界を見るためよ」


「2人ともエレシーを使えば同じ世界が見えるのか?」


「そうよ、エレシーを連動させることもできるのよ。準備できたわ」


「じゃあ、買うぞ。せーの!」


・・・

・・・


「これは・・・」


「やっぱり・・・こうなるのね・・・」


「どうなってるんだ?真っ暗で何も見えないままだ。でも何かが変わった感覚はある」


「そこから出ないと何も見えないわよ。でもだめなの、この世界では」


「どういうことだ?」


「今なら、世界の真実を・・・話してもいいわ。でもきっと、聞くと後悔する。お願い、レイ、できれば、そのまま何も聞かないで。もう少しだけ、私を信じて・・・」


「サラ・・・分かった。もう少しなんだな?」


「ええ・・・もう少し。」


「サラを信じるよ」


(ごめんなさい・・・)


・・・


・・・


・・・


・・・


・・・


・・・


「それじゃあ、今から世界をリセットするわ。レイの記憶も消えるけど、少しだけ我慢してね」


「はっ?おい!待て!サラ!」


(レイ・・・ごめんね・・・)


何もない。

光も。

身体の感覚も。


「ここは情報世界『インフォーマ・ポートフォリオ』よ。情報が実体を持つ世界。全ては、意のままに。チュートリアルは以上」

 

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